手術後も残る頚椎症性脊髄症の「しびれ」— なぜ残る? アトラス・オーソゴナルがサポートできること

先日の中日新聞に大変興味深い記事が掲載されていました。

それほど多いケースというわけではありませんが、当オフィスにご相談に来られる方々が抱える悩みにも共通するような内容でしたので紹介させていただきます。




 

◆ 「手術後もしびれが残る」

 
2025年10月21日の中日新聞に掲載された、慶應大学病院整形外科教授による解説記事を引用します。

中日新聞 2025年10月21日(火)より


「頸椎症性脊髄症しびれ残る

Q 夫(53) が今年1月に頸椎症性脊髄症の手術を受けました。椎弓形成術という方法です。今も肩に張りや重みを感じており、指先や腕のしびれがあります。緩やかに回復していますが、不安です。今後はどのように過ごすとよいですか。(女性、52歳)

A 頸椎症性脊髄症は加齢で頸椎が変形し、骨の中を通る脊髄が圧迫されてまひが生じる病気です。50歳以上の男性に多いとされています。症状としては上肢のしびれや「箸が使いにくい」「ボタンがかけにくい」などの手指の運動障害で始まり、進むと歩行や排尿などに障害が現れます。

軽症なら、しぴれを軽くする薬や、首を固定する医療用具「頸椎カラー」を着用するなどして様子を見ますが、悪化すると早い時期に育髄の圧迫を除去する手術が必要です。頸椎の後ろから脊髄を覆っている「椎弓」という骨を削り、脊髄の周りを広げる椎弓形成術が国内では主流です。

椎弓形成術では首の後ろの筋肉を多少なりとも骨から切り離す必要があるため、相談者のように術後に首や肩の痛みや張りがしばらく続くことになります。また、手術前のまひが重く、長く続いていた場合、術後も手足のしぴれや運動障害が残ってしまうことも少なくありません。術後の症状を軽くするために首や肩のゆっくりしたストレッチや軽めの筋力強化運動、手指の細かい運動、良い姿勢でのウオーキングに励み、長時間前かがみで作業するのを避ける必要があります。

しびれを軽減するさまざまな薬もあるので、運動の方法も含めて専門医に相談するとよいと思います。

(慶応大病院整形外科教授)」

このような記事が出るわけですから、手術という大きな治療を終えてもなお、「しびれ」や「張り」が残る現実に、不安を感じている方が一定数いらっしゃるのではないでしょうか。

この事実を踏まえ、このブログでは「なぜしびれが残るのか」を整理し、その後の生活の質(QOL)向上を目指す上で、私たちが専門とするアトラス・オーソゴナル・カイロプラクティックによる上部頚椎へのアプローチがどのような可能性を秘めているのかを解説します。




 

◆ なぜ、手術で圧迫を取り除いても「しびれ」が残ってしまうのか?

まずは、頚椎症性脊髄症の基本と、術後の症状が続く理由を整理します。

 

1.頚椎症性脊髄症とは

頚椎症性脊髄症は、加齢などで首の骨(頚椎)や椎間板が変形し、脊髄(中枢神経)が圧迫される病気です。

「標準整形外科学」より


主な症状は、手足のしびれ、箸やボタン操作が困難になるなどの手指の細かい動作の障害歩行のバランスが悪くなるなど、深刻なものです。特に50代以降の男性に多く、進行を止めるためには外科的治療(椎弓形成術など)が一般的になります。

 

2.手術後も症状が残る二つの医学的理由

代表的な手術法である椎弓形成術では、骨の後ろ側(椎弓)を削り、脊髄の通り道(脊柱管)を広げます。

椎弓形成術について 「整形外科ガール」より


しかし、術後もしびれが残ることがあり、その主な理由は2つあります。
  1. 神経の回復遅延: 長期間にわたり圧迫を受けていた神経は、圧迫が取り除かれても、すぐに機能が回復しません。神経のダメージが深かった場合、機能障害が残りやすいことが知られています。(大阪公立大学の報告では、術後も強いしびれが残ると回答した患者さんが約半数に上っています。)
  2. 筋膜・筋肉の緊張: 新聞記事にもある通り、手術操作で首や肩の筋肉の一部を骨から切り離す必要があるため、肩の張り感や重だるさが長期に残ってしまうことがあります。
これに対して整形外科的には、再発防止と症状軽減のために頚椎カラーやストレッチ、軽い筋力トレーニング、そして良い姿勢での歩行など、術後の継続的なリハビリとケアが一般的なアプローチとなります。




 

◆ アトラス・オーソゴナル・カイロプラクティックの可能性

当オフィスで行なうアトラス・オーソゴナル・カイロプラクティックについては、カイロプラクティックのページを参照していただければと思いますが、ここでは、アトラス・オーソゴナル・カイロプラクティックによりどのような面で症状の軽減に貢献できるのか、その可能性を論文など専門的な文献などを引用したいと思います。
また、先ほどの新聞記事のような頚椎性脊髄症の手術後に残る「シビレ」などの症状のケースとは少し違うかもしれませんが、頚椎の手術後に、手のシビレなどが酷くなってしまったケースにおいて、アトラス・オーソゴナル・カイロプラクティックによるアプローチで症状が軽減したケースがありますので、併せて紹介します。

 

1.海外の報告に見る「循環と機能」のサポート

アトラス・オーソゴナル・カイロプラクティックによる調整は、脊髄そのものに直接的な操作を加えるものではありません。しかし、上部頚椎の配列を整えることで、神経伝達や血流循環を間接的にサポートする可能性が注目されています。

近年の海外研究誌では、以下のような事例が報告されています。
  • アトラスの前方変位(C1前方すべり)によって、頚静脈や頚動脈といった重要な血流経路や迷走神経が圧迫されるケース。(1)
  • アトラス・オーソゴナル・カイロプラクティックによる軽い力での調整後に、CT画像上で血流経路の開放と、それに伴う頚性めまいや上部頚椎痛の改善が確認された事例。(2)
  • 脊髄圧迫に伴う神経症状に対する補助的ケアとしての可能性。(3、4)
これらの論文は、アトラス・オーソゴナル・カイロプラクティックが体のバランス・重心・神経伝達の“根本的調整”を通じて、術後の回復期にある身体の自己回復力をサポートし、リハビリ効果を最大化する補助的ケアとしての意義を示唆しています。

 

2.当オフィスにおける実際の症例

症例1(50代男性)

この方の場合は、元々の症状としては腰痛、足のシビレと不安定感、手のシビレは何となくあるような程度だったところ、徐々にシビレの範囲が広がり、尿の切れも悪くなり、さらにはシビレが下半身全体に広がり、MRI等の検査の結果、片側の下肢の症状は画像検査と一致するが、もう片方の下肢の問題は一致しないとのことで、頚椎の検査をすることになり、そこで頚椎性脊髄症とのことで頚椎の手術となったケースです。手術後、腰痛は楽になり、殿部から太もものシビレは減ったとのことでしたが、逆に手のシビレは酷くなり、腕も挙げづらくなってしまい、術後1ヶ月ほどして当オフィスに相談がありました。
手術後にもまだ手のシビレが残っているという話ではなく、逆に酷くなってしまっているケースですが、原因としては、手術中は骨や組織を削ったり、神経を直接操作することがあり、その際に「神経をよける」「引っ張る」といった刺激・圧迫・牽引が不可避となり、これらの操作の影響で術前にはなかった新たな神経症状(シビレなど)が起こる場合があると考えられています。
この方の手術は、レントゲン等を見る感じでは、おそらく頚椎5-7番の後方除圧固定術で、金属が入っている状態でしたが、アトラス・オーソゴナル・カイロプラクティックによるアプローチは可能であると判断し、通常通り提携医療機関での専用のレントゲン写真を基に施術を行いました。
調整後は、コリやシビレが軽減したりまた戻ったりを繰り返しながらも、全体的に見れば症状はかなり軽減しており、歩行もしやすくなっております。
完全に症状が回復というところには至っておりませんが、生活の質(QOL)という意味では徐々に改善しつつあるというケースです。

症例2(60代男性)

トイレに行ったタイミングから急に歩けなくなり、そのまま病院へ。
検査の結果、頚椎症性脊髄症とのことで手術を行い、何とか歩けるようにはなったが、歩きにくく、更には手術後から両手の平の感覚がおかしく(小石を掴んでいるようなジャリジャリした感じ)、力も入りにくくなったとのこと。
アトラス・オーソゴナル・カイロプラクティックによるアプローチにより、歩きにくい感じが軽減、さらに初回の調整から2ヶ月ほど経ったあたりから、手のひらの感覚も小石の粒が徐々に大きく感じるように変わり始め、その後ジャリジャリする感覚はほぼ消失。歩きにくさや手の動かしにくさは残りますが、来院時と比べるとかなり軽減しています。

お二人とも、手術後に新たに出た症状が変化してきたという症例で、共に症状の軽減止まりではありますが、生活しやすくなったとのことでとても喜んでいただけました。




◆ まとめ

頚椎症性脊髄症の手術後も残るシビレや、手術後に新たに出てしまった症状など、多くの方が悩むつらい症状ですが、アトラス・オーソゴナル・カイロプラクティックはその根本的な改善方法の一つとして、可能性を秘めています。
北川カイロプラクティックでは、提携医療機関で撮影されたレントゲン(CT)画像を基に、根本的な問題を解決することで、あなたの自己回復能力を最大限に引き出すお手伝いをしたいと考えています。

お悩みの方はぜひ一度、ご相談ください。




【引用・参考資料など】
  • 1.https://caringmedical.com/prolotherapy-news/upper-cervical-instability-affects-brain-stem/
  • 2.https://vertebralsubluxationresearch.com/2022/03/12/1822-resolution-of-cervicogenic-dizziness-and-upper-cervical-pain-in-a-49-year-old-female-receiving-atlas-orthogonal-chiropractic-care-a-case-report/
  • 3.https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11927947/
  • 4.https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2214751925000866
  • 5.https://www.n-cli.com/numbness/


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